「1人では点が取れない」だから面白い。ネットボールにハマった大学生のリアル
「最初は、制約が多くて難しいスポーツだなって思いました」
そう話すのは、ネットボールをプレーする野村武司さん。
大学の授業で出会ったこのスポーツに、気づけば3年間向き合い続けている。
きっかけは、ほんの偶然だった。
「ドリブルがない」からハマった
メチャスポ編集部(以下、メチャ):まずは自己紹介をお願いします。
野村武司さん(以下、野村):三河LYNXに所属している野村武司です。ネットボールは大学に入ってから始めました。授業で出会ったのがきっかけです。
もともとサッカーや野球、バドミントンなど、さまざまなスポーツを経験してきた野村さん。
ただ一つ、やってこなかったスポーツがあった。
それが“バスケットボール”だった。
野村:バスケっぽいことには興味があったんですけど、ドリブルとかが難しくて。でもネットボールはドリブルがなくて、そこが自分には入りやすかったですね。
“バスケに似ているけど、バスケじゃない”
その絶妙な距離感が、野村さんを引き込んだ。

「考え続けるスポーツ」という第一印象
メチャ:実際にやってみてどうでした?
野村:最初はとにかく制約が多くて、考えることが多いなっていう印象でした。ボールを持ったら動けないし、ドリブルもできない。エリア制限もあって、常に頭を使うスポーツだなって。
一見すると難しそうに見える。
しかし、その制約こそがネットボールの面白さでもある。
1人では勝てない。それが面白い
数あるスポーツの中で、なぜネットボールを選んだのか。
その理由は、競技そのものの構造にあった。
野村:大きく2つあって、1つは役割がすごく明確なこと。7人それぞれにポジションがあって、できることもエリアも全部違うんです。
ネットボールでは、シュートを打てるのは7人中わずか2人。
全員が主役ではないからこそ、全員が必要になる。
野村:もう1つは、1人うまい人がいても勝てないこと。ドリブルもできないし、1人で完結できない。だから、誰か1人の得点じゃない。“みんなで取った1点”になるんです。
チームで繋がなければ、得点にはならない。
それが、この競技の最大の魅力だ。

観るなら「3秒」に注目
メチャ:観る人はどこに注目すると面白いですか?
野村:ボールを持ってから3秒以内にパスかシュートをしないといけないんです。これがすごく大事で。
一瞬の判断が、プレーの質を左右する。
野村:やってる側は常に判断を迫られていて、その3秒の中でミスが生まれたり、逆にディフェンスがそれを読んでパスカットしたり。そこがすごく面白いです。
実際、会場ではシュートよりもパスカットの瞬間に歓声が上がることもあるという。
“得点シーン以外も熱い”。
それもネットボールの特徴だ。
ディフェンスは「読み」のスポーツ
野村さん自身はディフェンスを専門としている。
野村:ボールを持ってる人から直接奪うことは基本できないので、どこにパスが出るかを読む力が大事になります。
さらに、距離制限やファウルの基準など、細かなルールも多い。
野村:どこまでいったらファウルになるかは審判によっても違うので、そこを探りながらプレーするのは難しいですね。
ただ激しく止めるだけではない。
冷静さと判断力が求められるポジションだ。
日本でやるリアル「まず人がいない」
競技の魅力とは裏腹に、日本での環境は決して恵まれているとは言えない。
野村:一番大きいのは、やっぱり人を集めることですね。新しいスポーツに挑戦するハードルと、新しいコミュニティに入るハードル、両方あるので。
現在、日本のネットボールは限られた地域でのみ活動している。
野村:大会も6チームくらいなので、もっといろんなチームと試合したいという思いはあります。
それでも続けてこれた理由は何か。
「広げること」そのものが面白かった
野村:ネットボールを広げるために、いろいろ試してきたんです。それがすごく楽しくて。
イベントの開催、体験会、他競技とのコラボ。
試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ仲間を増やしてきた。
野村:インカレフェスというイベントでは、全国から60人以上集まってくれて。あれはすごく印象に残っています。

競技を“やる”だけでなく、“広げる”。
その面白さに、野村さんは魅了されていった。
海外で見た「当たり前」の光景
今年2月、野村さんはアジアカップに出場。
開催地の香港で、衝撃を受けた。
野村:街の外コートに普通にネットボールのゴールが立ってるんです。日本では考えられない光景でした。
ネットボールの競技人口は、世界で約2000万人。
海外では“当たり前のスポーツ”として根付いている。
そのギャップが、野村さんの中に強い想いを生んだ。
「誰かがやる」から「自分がやる」へ
ネットボールと出会った3年間で、最も変わったこと。
それは、自分自身のスタンスだった。
野村:今までは誰かが作ったものに参加する側だったんですけど、ネットボールは自分が動かないと何も変わらないスポーツで。
だからこそ、
野村:自分から動いて、人を巻き込む力は身についたと思います。
競技が人を変える。
そのリアルが、ここにある。
目標は「競技も普及も日本一」
野村:競技として勝つことはもちろんなんですが、普及も含めて日本一を目指しています。
愛知を拠点に、西へと広げていく構想もある。
すでにBリーグやラグビーチームとのコラボも実現しており、その動きは着実に広がりつつある。

支える人が増えれば、スポーツは広がる
野村:ネットボールって、“する”“見る”だけじゃなくて、“支える”楽しさがすごく大きいスポーツだと思っていて。
プレイヤーだけでは成り立たない。
野村:支える側の人が増えることで、競技自体の広がりも大きくなると思っています。
その視点は、マイナースポーツ全体にも通じるものがある。
最後にネットボールとは?
メチャ:最後に、ネットボールの魅力を一言で表すと?
野村:将棋版のバスケットボール、ですね。
ポジションという“駒”をどう動かすか。
自分に合った役割を見つけ、チームで戦う。
野村:自分に合ったポジションが必ず見つかるスポーツだと思います。

「まずは一度、やってみてほしい」
野村:バスケ経験がなくても楽しめます。ぜひ一度体験して、自分のポジションを見つけてほしいです。
現在は愛知・東京・群馬を中心に体験機会が広がっている。
そして、その輪はさらに西へ——。
1人では点が取れない。
だからこそ、全員で戦う意味がある。
ネットボールは、そんなスポーツだ。
愛知県ネットボール協会 インスタグラム:https://www.instagram.com/aichi_netball/
南山大学ネットボールチーム インスタグラム:https://www.instagram.com/nanzan_netball/
三河ネットボールクラブLINX インスタグラム:https://www.instagram.com/netball_mikawa/
